MY WAY PEOPLE

自分自身のえらんだ道を颯爽と歩く、やまがたのひとたち

ヨミウリウェイヤマガタウェイ

作 家 柚月 裕子さん

作 家  柚月 裕子さん
とりつくろわず、本当の自分をだしていきたいです。

新人作家を発掘する文学賞「このミステリーがすごい!大賞」。第7回目の選考では、審査委員の意見が2つに分かれ、議論の末にダブル受賞となったことで話題になりました。選ばれた1つが山形市在住の柚月裕子さんの作品「臨床真理」。デビューまでのいきさつや日頃心がけていることについてうかがいました。

20代前半で子育て開始

子どもの頃は転勤族だったので、岩手県内をあちこち転校し、おかげで自立心が養われていった気がします。その後山形へ来て、20代前半で結婚、出産。右も左もわからずの子育てですから、学びも多かったです。絶対的に自分の自由にならないものってあるんだなとか、忍耐とか(笑)。育児書も読みましたけど、心強かったのは同じ社宅にいたお母さんたち。みなさん快く手を貸してくださって、声を発すれば助けてくれる人がいるって気付きました。物ごとも人生も優先順位があって、20代〜30代前半にかけての私は子育てだったんですよね。無我夢中だったから、今は思う存分やった達成感に近い気持ちでいられます。

初の長編作品で受賞

小説を書き始めたきっかけは「小説家になろう講座(*1)」を受講したことでした。といっても、本が好きだったので、著名な作家さんのお話を聞きたくて参加したんです。通い始めて2年目頃から、半ばおそるおそる短編を提出するようになりました。初めは意見をもらうのが怖かったのですがだんだんと慣れ、山新文学賞を受賞したことで1歩前に踏み出せて。「このミス」は一次に残れば選評がいただけるので運が良ければ・・・と応募してみたんです。でも長編は初めてでしたから執筆中はマラソン走者のよう。自分の内面を絞り出すような状態もハードで、喜びは出来上がった瞬間だけだったかもしれません(苦笑)。

人間の心理を書きたい

受賞後は編集者による校閲(こうえつ)が入り、より適切な表現に修正していきます。この時期、過労のためか1週間ほど入院してしまい、真っ赤になって送られてきたゲラをベッドの上で校正していたのもいまとなってはエピソードの1つでしょうか。いま2作目に取り組んでいますが、テーマとして興味があるのは人の言葉や行動の内側です。例えば「なぜこの人は刺すような言い方をするのか」「バックボーンに何があるのか」。それを物語の中で掘り下げていきたいです。

母のひとこと

27歳のときに5年間闘病生活を送った母が他界しました。子どもの頃は毎日絵本などを読んでくれ、私が書いた手紙や読書感想文を読んで「裕子は文章が上手ね」と褒めてくれた言葉が、文章を書く道へと向かわせてくれた気がします。母の死は辛い出来事でしたが、私を必要としてくれる人がいると感じることで乗り越えられました。10人中10人と友人になるのは難しいこと。そして、自分の本当の理解者を得るのはもっと難しいことだと思います。作品づくりも子育ても、世間一般の「相対評価」と自分自身の「絶対評価」があって、前者だけを基準にすると自分がブレてきます。生きていく上で誰もがさまざまな属性を持っていますが、基本は「個」である自分を大切にしたい
と思っています。

(*1)毎月第4日曜日の午後2時から午後4時まで、山形市「遊学館(ゆうがくかん)」にて開催。(8月・12月は休講)
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左から..
1. 臨床真理のゲラ。「1冊の本になるまでには多くの人がかかわることを知りました」。
2. シャーディーなどお気に入りのCD 。「車の中で聴いたり歌ったり(笑)」
3. 愛読書の「カモメに飛ぶことを教えた猫」。初めて読んだミステリー「シャーロックホームズの冒険」。
4. いま一番の癒しの相手は愛猫のルナ。ちょっと戯れるつもりが1時間になっていることも。

MY WAY PEOPLE PROFILE_

■柚月 裕子 さん
1968年5月12日 岩手県生まれ A型
両親の転勤で山形へ。地元情報誌や企業媒体の記事等を手がけるフリーライター。
山新文学賞に2回応募し、一昨年9月応募分の「待ち人」が入選。
昨年の「やましん文芸年間賞」で最高の天賞を受賞。
健康法は文庫本を持ち込んで長めの入浴や温泉で
たっぷり汗をかくこと。 趣味はトールペイントやソーイング。
毎日体重計にのって管理しつつ、食べ歩き。

(※2009年4月10日号掲載)
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