わたなべまさこ 昭和16年10月13日生まれ A型。
山形県立西高等学校卒業後、山形天童郵便局に入局し、山形中央郵便局を経て山形通信診療所を54才で退職。カワシマテキスタイルスクールで学び、平成9年に手織工房『棉屋』を開設。毎年十字屋山形店で開催される一坪ショップに参加するほか、仙台の百貨店などにも出品。上山駅前の『ふらっと工房ら・ら・ら』代表を務めるほか、今年は上山葉山にあるアジアの輸入雑貨店『クロボカン』と併設した『棉屋』をオープン。手作り石けんや、アレルギーの人にも最適な石けんがいらない和紡布といったエコ商品も販売。息子夫婦との2世帯住宅でご主人と2人暮らし。

『手織工房 棉屋』
山形県山形市荒楯町 023-615-3221(土曜のみ) 
『ふらっと工房ら・ら・ら』023-679-8681 
『クロボカン』023-672-0519
工房の設立
 この学校に入学した一年目の時、自分用の織り機を買ったの。しかも一番大きいものを。大きいから、そりゃ値段も高い。一台数十万円もする道具だから、趣味にせよ、仕事にせよ、機織りを本気でやるにはね、相当の決心がいるんですよ。私はそうやって、いつも自分を後戻りできないようにするわけ(笑)。退職後はベンチャー企業が入居する山形県産業創造支援センターで経理の手伝いをしながら、作品づくりをしていました。平成十年に知人の薦めで、『山形エクセレントデザインセレクション』に、多綜絖という手法の作品を提出したんです。そうしたら奨励賞をいただけてね。多綜絖はとっても面倒だから、あまりやる人がいないんですよ。受賞のおかげで自信もつきました。
事業のむずかしさ
 原料に使っているのは、オーガニックコットンや日本の伝統技術が作り出したガラ紡糸、草木で染めた糸など、できるだけ自然のもの。糸は奈良から仕入れるのですが、機織りをしたい人たちのために、草木染をして提供もしています。手織の魅力は、経糸と緯糸の組み合わせで、まったく違った物が出来上がることね。だから一枚として同じものはないし、デザインも無限にあると言えるBただ、事業にした時には厳しい面もありますよ。製作に時間がかかるから、たくさん作ることはできないし、値段が高価になってしまう。かといって作品展をして眺めてもらうのではなく、生活の一部として使えるものを作りたいと思っているから。とにかく今は品物を好きになってくれて、欲しいと言ってくれる方々のために、丁寧に作ることですね。
一人で行動
 小さい時はね、おとなしい子どもだったの。成長するにつれて行動的な性格になって、高校時代は山岳部で県内の山を回ったり北アルプスにも登りました。二十三歳で結婚して、翌年に長男を出産。三年後に次男も生まれたから、しばらくは子育てに専念して、三十代になってから山歩きを再開。高山で出会う花の写真が撮りたくて、カメラを買って独学で勉強もしたんですよ。月山の裏道に好きな場所があってね、四十代の時は七年位通ったかな。登山に行くときは、大抵一人で山小屋に一〜二泊するの。恐怖心?ないない、自然の中にいて怖いのはむしろ人間よ(笑)。
まだまだ1/3
 手織を始めて約十年になるけど、自分の方向が見えてきたと感じたのは二年前位からかなー。いま夢中なのが「裂織り」。古布などを細く裂いたものを横糸にして織るの。この反物がどんな風に生まれ変わるのだろうって、布地選びの時から、もうワクワク。それから、羊毛を使ったホームスパン(*1)にも興味がって、その仲間づくりをしているところです。天然染めのレパートリーも増やしたいし、もう、次々としたい事が出てきて、山登りで言ったらまだ三合目。これまでの人生の中で、今が一番充実しているかもね。
「中途半端では出来ない」
機織りは覚悟がいる仕事なのよ。
 古代から人々の暮らしの道具だった機織り機。木や蚕など自然の素材を糸にして、縦に張った上糸と下糸に横糸を通しながら、さまざまな風合いや図柄の布が作りだされます。世界各地の女性たちは、手織を通して、土地の文化や自らの感性を表現してきたのでしょう。今回は、オーガニックコットンや古布を使った布地を製作している渡辺政子さんの工房をたずねてみました。
新しい道さがし
 五十歳になった時、定年退職してからのことを考えはじめるようになってね。ずっと登山をしてきたから、自然の素材や色を組み合わせて表現できることはないかって考えたの。あけびの蔓細工教室へ三年ほど通ってみたり、四泊五日で機織りの体験入学をしに長野に行ってみたり。それで手織りが自分に合うなって感じて、退職する三年前から、京都にあるカワシマテキスタイルスクールに入学することにしたんです。京都という土地にも興味があったので、学校案内の本でこの学校を探して。一般人が対象だから、私が行ったときは、二十二歳から六十五歳位までのクラスメイトと十日間の寮生活。計四年通いました。
▲色の配色にセンスが感じられるバックと反物。一番手前が、多綜絖という手法の作品。  

「英文は読めないけど、図解は分かるから海外の本も参考にしますよ」。北欧のデザインを日本風にアレンジしたりね。 
反物を裂いて作った裂き糸の玉。
毎週土曜日に教室も行っている工房。お茶のみ話も弾みます。

 
 
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