1956年寒河江市生まれ。呉服店勤務を経て、平成元年に古布・骨董の資格を取得し『円阿弥』を開店。同業者だったご主人と知り合い、平成4年に結婚。現在は夫婦でお店を経営。娘と兄の4人プラス子犬1匹の家族構成。
■ 円阿弥:山形市本町2-1-22
023-641-0275 10:00〜18:00
日曜定休
*毎月第1・3土曜日(10:30〜15:00)は、向かいにある酒井茶補2階ギャラリーで着付け教室を開催。着物がない人は『円阿弥』から借りられるので、アンティーク着物の試着もできます。1回毎の参加が可能で、学生1500円 一般2000円 昼食代500円。
*毎月第1日曜日は山形市の諏訪神社、毎月第2土曜日は鶴岡市の荘内神社、毎月第4土曜日は河北町の八幡神社などの骨董市にも出店。4月には山形市で展示会も開催予定です。各問い合わせは円阿弥陀まで。
買い付けが健康法?
 卒業後は呉服屋に勤めて現代の着物を販売していた時期もあったが、
 「あの頃は売らなきゃってプレッシャーばかりで辛かった。それで自分が好きなアンティークの着物に囲まれていたくて、お店を開いたの。仕入れに行くと色んな着物を探せるでしょう。大量生産じゃないから一品物がほとんどだし、もう楽しくて、楽しくて」。
 中塚さんは、売ることより、買い集められることが幸せみたいだ。仕入れも県内、仙台、東京と、ほぼ毎週のように予定している。
 「お店には古布が好きなお客さんが来てくれるから、無理な接客はしなくていいし、嫌なことがあっても着物をながめていると、明日があるさって思えてくるの。それが心と身体の健康になっているかもしれないですね(笑)」。
飛び込みでスタッフに
 そして今年からお店には、新しいスタッフ苗生美さんが加わった。子供の頃から古い物には興味があったそうだが、海外に関わる仕事がしたいという思いから貿易関係の大学で勉強し、昨年山形へUターン。
 「東京の生活は肌に合わなくて、山形で海外へ行くための資金を作ろうと飲食店でアルバイトをしていたんです。たまたま『円阿弥』の存在を知って、働かせてくださいって、履歴書も持たずにお願いに来ちゃたんです」。
 海外旅行の経験も多いためか、静かな話ぶりとは反対に大胆な性格の持ち主のよう。
日常を大事に思う
 「日本の文化で一番好きなのがキモノで、昔の品物の方が、あ〜、なんか落ち着くって思えるんです」
と話す苗生美さん。中塚さんへのインタビュー中、古布から見る時代背景の話になると傍らでメモを取ったり、とても勉強熱心な様子が伝わってくる。生きていく上で大切にしていることは?という質問には、
 「いま見つけている途中です。でも、ただ生きているだけでも素晴らしいなって。そう思えたらいいなという気持ちも含めてですけど」。
 長い時を経て、なお価値を失わない物に接しているからだろうか。中塚さんも苗生美さんも人生に焦ることなく、日々のよろこびを味わいながら過ごしている気がした。
日向のにおいや、安堵感、
時と人のつながりが深まる古布の世界。  
 家具や食器、アクセサリーなど、不思議な魅力を放つ「アンティーク」。なかでも女性の人気を集めているのが、日本の「古布(こふ)」だ。昭和初期から大正時代を中心に、明治時代、時には江戸時代の物が出てくることも。貴重な逸品はコレクターの間で高い値がついてやりとりされたり、大学の研究材料として集められたりするが、一般的な着物は洋服の古着同様に手頃な品が多く、パーティーや街着として楽しむ人が増えてきた。専門店の『円阿弥』に集まるお客さんの層も幅広い。二十代の女の子もいれば、自分用や七五三の時に変わった着物を孫に着せたいと訪れるシニア世代もいたり。着物を広げて、昔の時代をなぞらえながら、日常にはないひとときを過ごしていく。
十八歳の思い出
 『円阿弥』の店内はいつも空気がゆるやかで、暖簾(のれん)をくぐると昭和の時代へすーっと戻っていくよう。「母親の着物姿を見て育った」と言うオーナー中塚さんも、穏やかな方だ。
 「母は現金よりも着物を持っている方がうれしい人でした。父は綺麗にしている母を見るのが好きだったようで、着物を選ぶ時は一緒に買い物に出かけていましたね」。
 中塚さんが着物に興味を持ったのは、高校三年生の頃。母親が嫁いで来たときに持ってきた、スズランなどの花が描かれた絽(ろ)の着物を見て、すっかり魅了されたのだとか。
▲古布の端切れも販売しており、兎の人形はお客さんが作ってくれたもの。

01.大正から昭和初期時代のちりめん地の振り袖。
02.上は子供の祝い着。下は大人のおしゃれ着。
03.遊びに来たお客さんに、似合う柄を選ぶ中塚さん。「地味な柄のアンティークは、若いお嬢さんが着ると可愛らしくなるのよ」。
 
 
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