1971年5月21日村山市生まれ
盛岡大学児童教育学科卒業。小学校教師、盛岡県立博物館勤務を経て、1998年4月に青年海外協力隊駒ヶ根訓練所入所。7月からエルサルヴァドル派遣、サンタ アナ県教育省に赴任し、2001年7月に帰国。10月から、独立行政法人国際協力機構東北支部へ配属。(財)山形県国際交流協会に勤務。趣味はサルサ、畑仕事。

(*1)持って行く荷物は全部リュックサック(バックパック)に入れて旅行する人。ツアーなどに頼らず、安宿に泊まりながらお金をかけずに旅をすること。
(*2)ウイルスの感染による一過性の熱性疾患。
経験する必要性を知って
 柴田さんのおもな役目は体育の普及。身体機能の発達を促したり、遊びや競技のスポーツを通して、協調性や社会性の大切を知ってもらうこと。
 「現地の子供たちにとって必要なのは生活の援助。私が来た意味はなんだーって悩みました。けれど手を使う球技をやろうとしたら、ボールを投げる動作ができない。肩も上がらない。体育の経験がないから分からないんです。歌も音感がない、絵を描こうと言っても想像ができない。経験や教育は大事なんだってつくづく感じましたね」。
目的達成のためには
 授業をしたいと各学校を回ることからスタートするが、サッカー以外のスポーツは、校長自身がピンとこない。
 「説明、説得の繰り返し。ここで学んだのは、成功するためなら何回だって頭を下げる。いかにプライドを捨てるか(笑)。辛いことがあるとどーんと落ち込む性格なのに、そんな暇なかったですね」
 二年間の滞在に一年延期の希望を出し、各学校にバレーボールのチームを作り、トーナメントができるまでになった。
人の役に立つこと
 「向こうの子供たちに将来なりたい職業は?それは何で?って聞くと、お母さんを助けたいとか、兄弟に同じ思いをさせないためとか、誰かのためって答えるんです。日本の子供はカッコイイから、お金持ちになりたいからがほとんど。人の役に立ちたいって言葉は一度も聞いたことがないんですよね」。
 柴田さんにとっては、日本の方が住み心地が悪くなったのではないだろうか。
 「ん〜、ある意味そう(苦笑)。エルサルヴァドルの人は本音で話すから、心を通わせやすい。ケンカをしても根に持たないし。だけど今は、自分の生まれた土地が、もっと国際協力に対して認識が深まるようにしたい。何か私にできることがあったらと思っているんですよ」。
みんな本能で
生きてるラテン系。
私の居場所は
ここだって思いました。
「このまま一生が終わるのかな」。体育教員の仕事に充実感はあったものの、ふとそんな思いがよぎり、関心があった文化財遺跡の発掘に関わるため博物館に勤務。二年後には青年海外協力隊へ入所と、どんどん進路変更してきた柴田さん。
 「学生時代にバレーボールをやっていて、指導でカナダに行ったことから海外にも興味があったんです。最初はアメリカやイタリア、バックパッカー(*1)でドイツ、オーストリアなどを回ったことも。国際交流事業の青年の船でタイを訪問して、開発途上国に関心が強くなって」。

病気はしょっちゅう
二十二、三歳頃まで、何のために生きているのか、自分一人いなくても世の中が変わる訳じゃない、そんな気持ちがあったそうだ。青年海外協力隊員になり、赴任先はエルサルヴァドル共和国に決定。アメリカ大陸の中央にある小国。スペイン語圏だ。衛生環境は良いとは言えない。
 「ステイ先の家は裕福だったけど、一日三食とも大体がトウモロコシの粉で作るトルティージャとチーズと豆。飽きると安い食堂に行くんで、食あたりは何度も(苦笑)。田舎のトイレは床一面に虫、虫。水分を控えて行くのを我慢するから膀胱炎になったり、リンパ線が腫れる感染症、盲腸、デング熱(*2)で入院もしましたねぇ」。
 心細さや死の恐怖感は?
 「仲間が見舞いに来てくれるし不安はなかったです。大事にしてもらえるから、なんか気分いいなぁって感じで(笑)」。
 どうやら悲観的にならない性格のよう。滞在期間中、柴田さんはマグニチュード七・六の大地震も経験している。
 「今でもキャンプ生活をしている人がたくさんいます。彼らは”日本は大震災や第二次対戦でも復興した。私たちもいつか日本のようになる、日本を目指して頑張る“って話すんです。エルサルヴァドルの人に強いエネルギーを感じました」。

お世話になったスタッフたち。「夜になればみんなでサルサを踊ります。おいしいのはアボガトとビール!」。

01.「子供たちが学習によって覚える早さはびっくりするほど。でも競争心がないから他の子よりできなくても、誰も気にしないの(笑)」。
02.エルサルヴァドルのラパルマ地方で作られている民芸品で、一番ポピュラーな絵柄。
03.「1コロンは日本円で15円。1コロンあればバスで市内を1周できて、フランスパンは3つ買えます」。
 
 
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